永井さんのいちご


2月を過ぎてくるとソワソワしはじめ
まだかまだかとその一報をまちわびる



苺の値段が一年で最も高騰するクリスマスシーズン
ほとんどの農家さんがそこに合わせて出荷を始めるなか
永井さんのいちごはまだまだ顔を出さない

真夏は涼しい山に苗を移動し
真冬はボイラーを一切炊かずに
優しく見守りつつも厳しく育てられたいちご達は

マイペースに おおらかに大きくなり
やがて花のような芳香を放つ

「やよいひめ」という苺の可能性を
誰よりも信じているのは彼かもしれない



ファン歴7年目の今年
姪っ子に会いに行くかのような気持ちで
永井さんのいちごに会いに行く

今年の出来がどうだこうだのいうよりも
その時々の個性がもう愛おしい


今年は、甘い甘い
永井さんのいちご



(とんこ)

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