小寒

夜中に風の音で目が覚めた
洗濯物を取り込み忘れたと思いだし
見て見ぬふりをしようと目を閉じるが
なんだか申し訳なく布団から這い出る
体をキュッと縮めてベランダの戸を開けると
どこか懐かしく温かな風
いつか誰かと嗅いだことのあるような
あの頃、というには
まだ思い出にさえなっていない
手を離したことに後悔はないけれど
そんなときもあったよねと
チクリと胸を刺すような

夜の時間が徐々に短くなり
少しずつ、次の季節へ



(とんこ)
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